AI showcase LT コードの99%をAIが書く
ネットワーク運用部署の次の課題

「SDLC(開発ライフサイクル)のガバナンス」をどうAIに委ねるか

ソニーネットワークコミュニケーションズ
Network Automation Specialist
渡部友也

自己紹介

“開発が得意ではない世界”に転生したけど、AIと一緒にもがいている人

渡部友也(わたなべ ともや) 
ソニーネットワークコミュニケーションズ 技術部門ネットワーク部技術2課 兼 運用課
兼 OpenFiber Japan株式会社 技術本部ネットワーク開発2部ネットワーク構築2課

略歴

  • 1985年 足立区生まれ
  • 〜2010年 都立航空高専 → 東京農工大 → 同大学院卒
  • 2010〜2024年 某SIerでプリセールス&NW自動化開発
  • 2025年〜 SNCにてNW自動化スペシャリストとして転生
       (PON / 業務整理 / NRE / AI推進 / など)

趣味

  • 🐎 競馬(1998年〜)
  • 🀄 麻雀
  • ⚾ 広島カープファン歴30年
  • 🍶 飲み歩き 新橋・上野・北千住

勉強会も主催しています 
Network Developer Night — ネットワーク開発者の勉強会(直近:#4 / 2026-07-23

今日お話しするAI活用方法

「AIで 自動化コードを書く」から
「AIで 自動化プロジェクトを推進する」へ

人間の仕事は、下流から上流へ AIに委ねて いく 🤝

開発力ほぼゼロ とりあえず書かせる ガバナンスの強化 AIに推進してもらう ▶ いまここ

※ なお、このスライド的なものも Quarto + reveal.js で Claude Opus 4.8 が作っています

GitHub Metricsで見る
SNCネットワーク部の2025年〜

15,966総コミット

2,493マージされたPR

179累積リリース

1→25AIアクティブユーザー / 月


🔁 変わったこと

増えたのはコミットだけじゃない——人もPRも、リリースも

snc-nw orgで蓄積したデータ。これらの変遷を3つの章に分けてお伝えします 👇

スタート地点:開発力、ほぼゼロ

2025年1月 — 自動化活動を立ち上げた直後の現実

ネットワーク部のチームで、コードを書ける人は、ほぼいなかった

3/ 45

コードを書けた社員

0

即戦力の委託メンバー

🚩 出発点

教材も時間もなく、メンバーへの
プログラミング教育は現実的ではない

→ だったら——AIに書かせるしかない

最初の打ち手:AIに“ただ書かせる”

2025年2〜3月 — まだ GitHub Copilot Agent Mode が Preview だった頃

人が習熟して書くのは、やめた。AIが書く全振り した。

当時のAIコーディング事情 — 環境はまだ未熟だった

Model は GPT-4.5 / Claude 3.7 Sonnet Claude Code はまだ無い “Vibe Coding” も未登場

手放した Python/TypeScriptを学習する

注力した Git/DevContainer等の周辺技術知識

♟️ 戦略

ネットワークエンジニアが、プログラマになる必要はない

→ 必要なのは「書く力」ではなく、AIに 書かせる力業務知識

成功体験:システムが爆速で作られた

2025年〜 — NRE活動として、ネットワーク運用をできるところからプログラム化

装置増設設計と作業

Netmiko Jinja

装置共通
Library/API Server

FastAPI Netmiko/Scrapli ttp/textFSM

2-way工事の自動化

Twilio React

IP/装置/構成管理

React Django

装置への一括操作Orchestrator

Nornir

🚀 最初の到達点

コードの99%は、AIが書くことになった
限られた開発者・適用範囲の中で、システムが複数できあがった

挫折:開発者と適用範囲がスケールしない

2025年2〜8月(7ヶ月) — コミットは増えた。でもPRがマージされない

コードはできている

2,675 コミット
(月平均 ≈380)

34 立ち上げたリポジトリ
(〜2025/8・次々と新規)

のに

PRがマージされない

173 マージPR数
(月平均 ≈25)

動くけど変なコード

コメントしては差し戻しの繰り返し

🧱 ボトルネック

コードの量産はできても、品質のコントロールができない
Modelの性能問題もあるが、コーディング経験不足が主因

→ 「品質をコントロールして開発を回す仕組み」が必要になった

第一歩:開発ライフサイクルの意識づけ

2025年 — 量産されたコードは何を作っているかを意識させる

機能追加なのかバグ修正なのか」を曖昧にしない

  • 意識するSemantic VersioningReleases で開発サイクルを意識させる
  • 可視化する — リリースノートに「何が・なぜ変わったか」を残す
  • 体験する — とにかく作ったものにverをつけてリリースしてみる

💡 体験から得る

不格好ではあったが、開発のライフサイクルを導入できた

→ 作っているものの解像度があがった。AIに説明できるのでコード品質があがったはず

回復:少しずつPRが回り出した

2025年9月〜2026年4月(8ヶ月) — release/tagの仕組みを入れた後

書く量はさらに増えた

8,371 コミット
(月平均 ≈1,046)

≈2.7倍 月コミット数
初期と比べて

だけど

なんとなく回っている

1,030 マージされたPR
= コミットの12.3%

6.5→12.3% 初期と比べてPR/コミット比がほぼ倍増
(月次は最大26%まで上昇)

↗️ ターニングポイント

コード量を加速させたまま、PRが“マージされる”ようになった

→ 小さい単位でPRを回す“ハーネス”が、AIの暴走を抑えた

加速:インフラ(AWS)もAIの管理下に

AWS導入 +管理を全てCDKで実施(cdk-full-managed)

2026年1月、AWSを導入
AWS経験者もいないので、最初から AI の管理下へ

これまで

オンプレIaaS
OS 払い出し・構築が手作業

いま

必要なリソースをAIが定義
CDKで自動作成・管理

⚡ 加速

AWSをAIに管理させたことは大成功。
全てIaC化された恩恵がとても大きい

→ インフラもAI の管理下に入り、Deploy と Release の障壁が一気に下がった

言語の壁が、無くなり始める

リポジトリの言語別コード量(実データ・GitHub API集計)

学習コストはAIが肩代わり、言語は”性能・機能”で選べる

Python 52.9% 2025年初〜

TypeScript 16.1% ← 2025後半に登場

HTML 15.7%

Jinja 3.1%

Java 2.2%

Go 1.0% ← 2025後半に登場

🧭 選び方が変わった

言語選定の基準が「書きやすさ」から「適材適所」
並行してコンテナからServerlessへ、実行環境も変化

“作る”が解決したら、次が詰まった

AIの圧倒的な生産スピードに、人間の管理プロセスが追いつかない

Modelの進化やAgent Codingの発展でさらにコード量は増え続ける

AIがコードを量産するほど、新たな課題が発生する

flowchart LR
  A["x"] --> B["y"]

🔍 レビュー PRが滞留して回らない

🌿 ブランチ戦略 シンプルな戦略だと
開発速度が速すぎて
mainがバーストする

🚦 リリース判定
Go / No-Go
誰が・何を基準に決める?
コードはあるが
運用変更は追いつくか?

🗂️ Issue / スケジュール 全体像が誰にも見えない
進捗が把握できない

🔀 ボトルネックの移動

ボトルネックが「作る」から「回す」に変わった

“回す”も、結局AIにやらせればいい

コーディングも、インフラ管理も — 結局ぜんぶ AIにやらせてきた

コーディング AIにやらせた DONE

インフラ管理 (AWS/CDK) AIにやらせた DONE

ガバナンス / PM AIにやらせる 同じはず

人間ができるのであればAIにもできる。ガバナンスもPMも、AIに委ねればいい

「コードもインフラもAIにやらせたらよくなった」— 答えは、ずっと同じだった

委ねる① プロジェクト管理をAIで

GitHub Projects × Copilot — 複数リポジトリを跨ぐ進捗管理

「Taskを切って欲しい」と伝える、AIに委ねるプロジェクト管理

BEFORE — 人手

GUIをポチポチ手作業。
それを毎日くり返す
ルールを覚える必要があるし、ルールは崩れる。

AFTER — AIが支援

Skillを定義すれば、
詳細なルールを覚える必要がない。
Release→Epic→Taskを階層化。
Assignee Iteration の振り分けルール

🗂️ PMのAI化

決められたルールでプロジェクト管理を、AIが支援する

委ねる② ブランチ戦略もAIで

AI Agentic Workflow — 開発者のブランチ戦略実行を支援する

「この改修、main にmergeしていい?」にAIが回答する

課題 ブランチ戦略が複雑になった — Branch作成やMerge先の判断が難しい

解決策 差分内容 × issueの背景から main直 / release経由 を判断支援。

🌿 ブランチ戦略のAI化

曖昧なブランチ戦略・Mergeの妥当性判断を、AIとSkillで固める

委ねる③ リリース判定もAIで

PR Template × チェックリスト — リリース可否を「型」で揃える

「これ、リリースして大丈夫?」をテンプレート+AIで標準化

課題 観点が均一化されていない — 影響範囲・テスト・切り戻しの確認が曖昧

解決策 PR Template に Go/No-Go チェック項目を定義
AIが設計とコードから生成。CIと合わせリリースゲートを作る

🚦 リリースのAI化

リリースの「OK」を、人の勘から テンプレ+AI

いちばん伝えたいこと

書けなかった → コードの99%をAIが書く → SDLC のガバナンスまでAIへ

「AIに書かせる」で終わらせない。
開発ライフサイクル(SDLC)ごと、AIに委ねられる。

極論、自然言語で表現できるものは全てAIでできる。
人がやるのは、“何を・なぜ世に出すか”を決めることと、AIに仕事を渡すことだけ

Thank you

ご清聴ありがとうございました